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東京地方裁判所 昭和41年(むのイ)218号 決定 1966年4月22日

主文

東京地方検察庁検察官は昭和四一年四月二三日午後一時から午後四時までの間少くとも三〇分間弁護人片平幸夫を被疑者岩田義孝と接見させなければならない。

弁護人のその余の申立は棄却する。

理由

本件申立の要旨は別紙記載のとおりである。

よって審按すると送付を受けた本件被疑事件記録によれば本件被疑者は昭和四一年四月七日東京地方裁判所裁判官によって勾留され、同時に本件弁護人以外の者との接見を禁止されたものであること、その後勾留期間を四月二六日迄延長されていること、および同年四月二一日本件弁護人が本件被疑事件担当の東京地方検察庁検察官寺西検事に面会して右被疑者との接見交通の日時等の指定を求めたところこれを拒絶されたこと、その際四月二二日又は四月二三日にでも指定されたい旨をも併せて求めたが、これをも一応拒絶されたこと、以上の諸事実が認められる。ところで、検察官が右指定の拒否をしたのは本件被疑者の態度に変化があり、更に本件被疑者を取調べる必要にもとずくというのであって、もとより接見の日時等の指定は本来捜査機関のなすべき処分である以上、検察官の意向をも充分考慮すべきことは当然であるとはいえ、右の点を考慮に入れてもなお前記のとおり指定を求めた日をも含めて三日間もの間接見の機会を一応にもせよ拒絶したことは、刑事訴訟法第三九条第三項但書の趣旨に違反する不当な処分であるといわざるを得ない。

よって本件申立中別紙一項・三項前段の申立については、前示検察官のなした前記の接見を許さない処分を取消したうえ主文第一項のとおり決定し、なおその余の不服申立については、かりに弁護人主張の如き事実があったとしても準抗告の対象とならないことは刑事訴訟法第四三〇条第一、二項の文理上明らかであるから、ここにこれを棄却することとする。

よって主文のとおり決定する。

(裁判官 中谷敬吉)

<以下省略>

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